二次創作小説「水平線の、その先へ」

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【閑話休題・給電着陸8】

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 原作のゲームでは飛行機の理屈やモーターなどの技術的な部分を、キャラクターが説明する場面がいくつも挿入されています。私は航空工学には疎いですが、素人目には力が入っており、物語にリアリティーを持たせたいと制作スタッフが勉強したか、経験者や助言者がいることをうかがえる内容になっています。

 とはいえ「高校生が短時間で有人飛行機を改造できるのか」など根本的な問題は抱えているので、そこはファンタジーとして楽しむ方がよさそうです。本作でもいろいろ理屈はつけていますが、細部は目を瞑っていただけるとありがたいです。

 一方で10年前には架空だった技術が現代で実現化しているのは、興味深いところです。リチウムイオン電池の薄型・小型化はさらに進行し、小型の純電気飛行機はいくつか作られ、本章で少し触れた電力の無線送信技術も開発が進んでいます。何よりスマホを始めとする通信IT機器の進歩がすさまじく、少し前に作った物語やトリックが現代の機器がないために10年あまりで陳腐化するという、物書きにとっては辛い状況にもなっています。

 本作をネット空間での保存という形で公開することにしたのも、昔は面白く多くの人を楽しませたストーリーが社会の変化で受け入れられなくなり、原作の魅力も急速に忘れ去られる、という流れに少し抗いたい気持ちがありました。多くの人に読まれることをまったく望んでいない(個人的に宣伝を一切しない)小説ですが、いつか誰かの心にちょっと引っかかればいいなあ、と思っています。

 長い小説も、ついに前半が終わりました。ようやく半分です。ここからは今まで仲の良かった仲間たちが、いろいろな問題を抱えて衝突しながら、飛行機を完成させる目的に進んでいきます。年内の更新はお休みして年明けに再開します。来年も、よろしくお願いいたします。