二次創作小説「水平線の、その先へ」

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あとがき・4

 執筆から10年が経ち、自分にとっても青春時代は遠い過去になり、教官を超えるような年齢になりました。改めて読み返して思うのは、宇宙科学会のみんなが今頃どうしているのかな、ということです。

 そもそも原作が当時より10~20年先の設定の話だったと記憶しているので、宇宙科学会のメンバーは今ごろゲームの展開を謳歌しており、彼らの10年後は現在(2021年)の10年後かもしれません。それにしてはドローンもスマホもない現代設定なので近未来予測小説とは誠に難しいものです。各キャラクターは原作と違う方向で描いており、以下はその設定上からの空想ですので、そのつもりでお読みください。

 

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 最初は沙夜子です。いろいろな意味で難しい娘ですが、もともと利発なので何かと家に反発しながら父親と交渉して大学に行き、その後は父親の会社に入り、自身の立場を生かした人生の楽しみ方を見つけているでしょう。レールから外れようとあがくのは青春の特権で、社会に入るとレールって結構行き先があって、やがて自分でレールの終着点を見つけて、その先にレールを引く楽しさがわかるものです。

 沙夜子にしては平凡な生き方かもしれませんが、それでも未来を選ぶのは自分の手にあり、その手段も資金も会社にあることわかれば変わるでしょう。父親とは違う沙夜子らしい事業を、びしびし手がけているのではないでしょうか。自分を変えたLMG飛行大会だけは自らプロデュースして、さらに発展させているでしょう。少なくとも婿社長に全人生を預けるような生き方はしないはずです。あるいは入社10年もすると後進に会社をさっさと譲って飛び出し、別の会社を興すか、趣味を謳歌し始めるかも。それでも残りの自由な人生は、はるかに長いのです。高校時代の幼かった自分を、笑って許せるようになっていると期待します。

 本作の花見なら航空工学系の大学を経て、技術者の道を堅実に歩きそうです。卒業したら内浜の海岸部に自前のオフィスを開き、海と空と森に囲まれた土地で小型LMG飛行機の設計をしているかもしれません。教官もその頃にはLMG大会担当から引退しているでしょうから、花見が教官を古賀グループから引き抜いて顧問に据え、二人で空の夢を育て語りあっているのでは。派手さはありませんが、充実した生き方をしそうなのが花見ですね。時々航空雑誌から「かつての天才パイロットで今は設計に夢を賭ける青年」として紹介されそうです。