3章 ゼロから始まる 挑戦で
前章最後に3章で「飛行機作りに入ります」と書きました。あれウソでした。改めて読んでみたら湖景ちゃんが部品を並べただけで、まったく組み立てておりません。なんてこったい。伏してお詫び申し上げます。しかしここまでペースが遅いとは。実に先が思いやら…
地球が反転するほど驚くとは、このことだろう。今のがコクられる、という奴なのだろうか。というか、なぜ委員長が僕に? 「げっ」 カエルを蹴っ飛ばしたような声を出したのは朋夏だ。朋夏が隣にいながら何を言い出すんだろうか、この委員長様は。 「いえ、そ…
6月11日(土) 南東の風 風力1 晴れ 昨日の夜は、珍しく雷雨になった。今朝になると雨は上がっていたが、道路にはかなりの水が残っていた。 土曜日の授業は、午前中で終わりだ。朋夏と湖景ちゃんと一緒に旧校舎に行こうと思っていたら、放課後に担任の先生…
放課後になると、雨が降ってきた。朋夏は旧校舎に行くため湖景ちゃんを誘いに向かったが、僕は会長の指示通り、部室に顔を出した。会長は先に来ていて、きょうはパソコンに向かっていた。 「あ、ソラくん。情報収集どうだった?」 「え?」 「え、じゃないよ…
6月10日(金) 北の風 風力4 曇り 翌日は、軽い筋肉痛を抱えての登校だった。 あのあと、僕は木箱の分解にとりかかった。翼の一部や金属索など、かなり大きな部品もあるため、傷つけないように持ち上げたり並べたりするのに手間取った。筋肉痛は、その後遺…
会話を聞かれていたなら、逆に話は早い。内浜行きの電車に乗ると、僕はつり革につかまりながら、会長に勝算を尋ねてみた。 「うーん、正直難しいかもねー」 なら、なんであんな条件を承認したのでしょうか、会長? 「やっぱり全国大会となると、大学や社会人…
古賀会長は先に旧校舎に行くと言って、委員会室を出ていった。 「平山君、お茶でもどう?」 委員長は、また冷たいウーロン茶を注いで、勧めてくれた。 「正直……こう来るとは思わなかったわ」 僕が再び席に着くと、委員長が呟いた。 「僕も驚いているんです」…
6月9日(木) 北東の風 風力2 曇り 授業が終わって旧校舎に向かおうとした時に、会長からメールで「ソラくんは部室に来るように」と、呼び出された。部室に行くと、先にいた会長が、広げていた本をぱたんと閉じた。 「大丈夫なんですか? 旧校舎のほうは…
会長に乗せられたのは釈然としない部分もあるが、僕たちが作った飛行機が本当に飛ぶなら、万々歳には違いない。 飛ばなければ学会解散という現実は厳しいが、これは委員会の規定方針通りともいえる。それなら飛ぼうと飛ぶまいと、できるだけのことをやればい…