二次創作小説「水平線の、その先へ」

当ブログは二次創作小説(原作:水平線まで何マイル?)を掲載しています。最初から読みたい方は1章をクリックしてください。

5章 僕らは前に 進み出す

【閑話休題・給電着陸5】

ようやく飛行機作りが軌道に乗りました。展開の遅さがずっと気になっていましたが、ここまで来ると筆者もひと安心です。 とはいえ後から読み返すと、構成の問題も見えてきます。4章の最後に「キャラ贔屓ではなく」と書いてその通りなのですが、途中参加の陽…

5章 僕らは前に 進み出す(8)

8 6月27日(月) 北東の風 風力1 雨 きのうからの雨が、相変わらず降り続いている。場所によっては豪雨で、洪水注意報も出ているようだ。二週間予報によると、六月の東葛地方の雨量は平年並みだが、例年より太平洋高気圧の勢力が強く、七月上旬には梅雨明…

5章 僕らは前に 進み出す(7)

7 6月26日(日) 北の風 風力3 雷雨 六月最後の日曜日は梅雨前線が勢いを盛り返して、あいにくの雨となった。太平洋高気圧と大陸からの冷気の押し合いが激しくなった証拠で、こうなると梅雨明けが近い。せっかく朋夏が順調に初飛行をしたのに、きょう飛べ…

5章 僕らは前に 進み出す(6)

6 6月25日(土) 南西の風 風力3 晴れ いつもは放課後に旧校舎へと直行するのだが、きょうは教官の指示で、朋夏と一緒に内浜市民滑空場に向かった。飛行機が完成すれば操縦や滑空などの動きをチェックする必要も出てくる。僕が全体を目配りする立場として…

5章 僕らは前に 進み出す(5)

5 6月24日(金) 南東の風 風力2 曇り 名香野先輩は火曜日以降、毎日作業に参加してくれている。五時からという日もあったが、十分にありがたい。それに先輩がいない時でも作業が進むようになってきた。 一つは、僕と湖景ちゃんが名香野先輩のやり方から…

5章 僕らは前に 進み出す(4)

4 6月23日(木) 北の風 風力3 曇り 朝。珍しく上村が難しそうな顔をしている。だが僕の姿を見ると、教室からテラスの方に出るように誘ってきた。 「時に噂によると、なにやら宇宙科学会が中央執行委員長を抱きこんで怪しげなことを始めたそうなのだが、…

5章 僕らは前に 進み出す(3)

3 6月21日(火) 風弱く 雨 以前は遊ぶだけだった放課後の時間が、それどころではなくなっている。あれほど苦労するのが嫌だと思っていたにもかかわらず、ほんのひと月前までの楽だった宇宙科学会を懐かしむ感情がわかない。 僕は会長の魔法にかかっている…

5章 僕らは前に 進み出す(2)

2 6月20日(月) 東の風 風力5 雨 月曜日は部室で作業というのが基本方針だ。朝から雨が強く、急に風向きが変わる荒れ模様の天気で、旧校舎に行かないでいいのは助かった。 昨日はほぼ一日仕事になり、フットペダルをコックピットに固定して、胴体の骨格…

5章 僕らは前に 進み出す(1)

1 6月19日(日) 北西の風 風力2 曇り 朝から雲が多いが、梅雨空特有の黒い空模様ではなく、時々日光がさしこんでくる。この分なら、きょうは雨に降られないだろう。土日が梅雨の中休みになっているおかげで、市民滑空場で訓練する朋夏のスケジュールが順…