二次創作小説「水平線の、その先へ」

当ブログは二次創作小説(原作:水平線まで何マイル?)を掲載しています。最初から読みたい方は1章をクリックしてください。

4章 途切れた絆を 縒り直し

【閑話休題・給電着陸4】

4章終了です。最後に衝撃の展開となりましたが、この辺まではまだ原作も調子が良かったんですけどね……。会長の謎ぶりも少しずつ明らかになっていきます。 ようやく元気娘の水面ちゃんが登場しました。宇宙科学会でない生徒でちょっとかき乱す存在は、原作で…

4章 途切れた絆を 縒り直し(9)

「ちょ、ちょっと待ってください。えーと、姉妹で、名前が違う。これは、いろいろと事情があるかと思うのですが……あの、双子で学年が違うというのは、どういうことなのでしょうか」 声が思いっきり、裏返ってしまった。 「あーソラくん、コカゲちゃんは学年…

4章 途切れた絆を 縒り直し(8)

6月18日(土) 西の風 風力3 晴れ 週末は久々に夏のような日差しが覗いた。ただ、蒸し暑くなるのがこの時期の欠点だ。格納庫には冷房がないし、風通しもそれほどよくない。朋夏は午前中の授業が終わると「この天気なら、上空は気持ちいぞー!」と騒ぎなが…

4章 途切れた絆を 縒り直し(7)

6月17日(金) 北の風 風力2 にわか雨 梅雨らしい、降ったりやんだりのはっきりしない天気が続く。僕らの作業も天気同様、一進一退だ。せっかく作った部品も、教官から「接合が甘い」「遊びが少なすぎる」と、次々と注文が舞い込む。 それだけ言うなら部品…

4章 途切れた絆を 縒り直し(6)

6月15日(水) 北東の風 風力2 曇り 僕が食堂で昼食を終えて廊下を歩いている時、ずっと先の階段踊り場でたたずむ一人の女子生徒と目が合った。髪が薄い茶色で、三つ編みのお下げ髪二本を、頭の後ろで結わえている。記憶にない生徒なので気のせいだと思っ…

4章 途切れた絆を 縒り直し(5)

6月14日(火) 風弱く 曇り 湖景ちゃんは一日休んだだけで、翌日には旧校舎で元気な姿を見せた。「ご心配をおかけしました」とぺこりと頭を下げられて、かえって恐縮した。 二人で作業を始めてほどなくして、尾翼につく舵の作業で行き詰まった。僕が教官に…

4章 途切れた絆を 縒り直し(4)

6月13日(月) 北の風 風力1 雨 週が明けて月曜日、梅雨前線が延びてきて、学校は雨となった。 けさ湖景ちゃんからメールが来て、学校を休むと伝えてきた。軽く疲れが出たそうだ。そう言えば土曜日曜と、格納庫で働きづめだった。 会長からのメールで、僕…

4章 途切れた絆を 縒り直し(3)

時は瞬く間に過ぎ、時計の針が正午を指した。最初の工程が終り、一息つく。 「平山先輩、名香野先輩、お疲れ様でした。お昼にしましょう」 湖景ちゃんが、いつみても小さなお弁当箱を開いた。毎朝、自分で作ってくるらしい。しかし、こんな弁当箱では胃の半…

4章 途切れた絆を 縒り直し(2)

これは驚きだった。まず委員長の知的な雰囲気が、工場に似合わない。湖景ちゃんと履歴が一緒、というのも面白い偶然だ。東葛市は工場が多いから、高校によってはそういう親の生徒が多いと聞いてはいたが。 「そうなんですか? 私の母もそうなんです。名香野…

4章 途切れた絆を 縒り直し (1)

6月12日(日) 北西の風 風力3 晴れ 翌朝も、窓から夏のようなまばゆい光が差し込んでいた。母親は、僕が日曜日なのに早く起きてきたことに、驚いたようだ。「ちょっと部活で。きょうも遅くなるから」と言い残し、僕は朝食もそこそこに家を出た。 僕と朋夏…